業界ごとのデザインガイドラインまとめ(オンライン学習サービス編)

活用事例
2023/04/06

オンライン学習サービスのデザインシステム

近年では社会人による学び直しの機会が広がりつつあり、大学・大学院・専門学校などの教育機関へ働きながら入学する方も増えていますが、学ぶ場所・時間帯・学習期間・費用などの面で様々なメリットがあることから、国内外の企業が提供するオンライン学習サービスも選択肢の一つとして支持を集めています。ここでは利用者の増加に伴うラインナップの拡充や開発規模の拡大といった変化の中で、デザインシステムの導入を通じて品質の維持・向上に取り組んでいるオンライン学習サービスの事例をご紹介します。  

 

1)Progate

URL: https://prog-8.com

サービス名 / 運営主体 Progate / 株式会社Progate(日本)
サービス概要 プログラミング初心者を主な対象としたオンライン学習サービス。
デザインシステムの目的 ビジュアルアイデンティティに対する認識やデザインレビューにおける視点の統一。

株式会社Progateが展開するプログラミング学習サービス「Progate」の開発現場では、当初は1名のみだったデザイナーの人数が次第に増えていったことから、デザインシステムが導入されるようになりました。チームの中で生じる「Progateらしさ」への認識の違いや、統一性の無い評価基準によるデザイン作業の停滞など、一つのプロダクトに複数のデザイナーが携わることで生じるようになった課題を解決するために、デザイン原則を策定し、それに基づいて「キーワード」「キーワードの説明文」「デザインとしての実装例」をドキュメントとして纏めることで、プロダクトの品質向上を図っています。

 

2)スタディサプリ

URL: https://studysapuri.jp

サービス名 / 運営主体 スタディサプリ / 株式会社リクルート(日本)
サービス概要 小学生・中学生・高校生および社会人を対象として、動画・コーチング・ライブ授業などを提供するオンライン学習サービス。
デザインシステムの目的 幅広いターゲット(小学生・中学生・高校生および社会人)へ提供する多数のプロダクトにおけるデザイン品質の統一。

株式会社リクルートが提供する「スタディサプリ」では、社会人だけでなく国内外の小学生・中学生・高校生などを対象とした多種多様なプロダクトを展開しています。しかし、プロダクトが多岐に渡ることから開発に携わるチームの規模も次第に拡大し、「同じようなスタイルの見出しでもプロダクトによってフォントサイズが異なる」など、デザインの基準が明確ではないケースが増えたことで、デザインシステムが導入されるようになりました。学びの内容や対象が異なるプロダクトを複数展開していることから、画一的なルールによってプロダクト全体の統合を図るのではなく、「デザイン原則」や「共通ルール」によって守るべき全体観を示しつつ、「領域別ルール」によってプロダクト毎に最適化する余地を残すなど、緩やかなデザインシステムが導入されています。

 

3)FutureLearn

URL: https://www.futurelearn.com

オンライン学習サービスの多くは自主学習を原則としたデジタルプロダクトとして開発されており、大学・大学院・専門学校などの教育機関が伝統的に採用してきたものとは異なる学びのスタイルを提供しています。デジタルプロダクトそのものであることから、異分野の開発で培われたデジタルプロダクトへのデザインシステム導入のノウハウが活かしやすい面がありそうです。現時点では明示的なデザインシステムの導入事例が必ずしも多い訳ではありませんが、学ぶ場所・時間帯・学習期間・費用といった制作の多い社会人による学び直しが一層注目を浴びる中で、デザインシステムの導入が多くのメリットをもたらす余地も多いのではないでしょうか。